市村清ゆかりの人物
  村山長一

ゆかりの人物「村山長一」について
ご紹介します。

村山長一プロフィール

生年月日1900年8月12日~1981年6月29日

職業池田回生病院 院長

池田回生病院 院長
佐賀中学の同窓生。市村の生涯の親友であり、主治医。市村の最期を看取った人物。

切磋琢磨して高め合ってきた師・友

佐賀中学の同級生で生涯の友、村山君。血気盛んで直情型のボクを諫め苦言も言ってくれた唯一無二の親友。主治医でもあり、ボクのすべてを理解してくれる存在で事業家と医師という立場を超えて分かちあえる友なんだ。

「君は一世の快男児だった」、市村の最期を看取った生涯の親友

村山長一は1900(明治33)年、佐賀県佐賀市に生まれました。
九州帝国大学医学部に入学、内臓外科の名医・三宅速(みやけ・はやり)初代外科部長のもとで学び、1925年卒業。大阪回生病院医師、病院長などを務めました。 
村山はテニスプレーヤーとしても国内トップクラスの実力者で、各大会で活躍。また、日本庭球協会九州支部(現 福岡テニス倶楽部)の設立(1925年)をはじめ、関西テニス協会長、日本テニス協会顧問などを歴任し、日本のテニス界の発展に寄与しました。
1981年死去、享年81歳。
村山と市村は旧制佐賀中学の同級生です。市村は中退生でしたが、村山たちが結成した「大七会」(佐賀中学大正7年卒業生の会)にも迎えられて、旧友たちとの交流は生涯続きました。
後年、リコー内部に起こった不正を調べ上げ、忠告してくれたのも大七会の仲間たちでした。己だけを信じ、突き進んできた市村には心を許せる人が極めて少なかったので、忌憚ないアドバイスをしてくれる村山たち旧友の存在がどれだけ心強かったかしれません。
市村にとって村山は唯一無二の親友であり、最も信頼する主治医でもありました。
1961年2月、市村が胃に違和感を感じてレントゲン検査を受けたところ、潰瘍ができていました。がん性変化も懸念されるので至急手術をした方が良いとの診断に、市村の妻・幸恵は大阪回生病院の村山に執刀を依頼しました。村山としては親友の体にメスを入れるのは気が進まず、東京での手術を勧めたのですが、夫婦揃っての懇願にうなずくしかありませんでした。
心配されていたがんへの変異もなく、手術は潰瘍部除去のため胃の半分を取っただけで無事終わりました。
村山は『三愛会会誌』34号(1961年5月発行)に「全快のお知らせ 市村社長の胃潰瘍手術報告」を掲載。病気の経過報告とともに全快祝の席で「胃はずいぶん小さくなっているから、一度にたくさん食べないように注意してくれ。そうすれば70、80過ぎまで元気に生きられる」という言葉を贈ったことを付記しました。
しかし、市村が70歳の誕生日を迎えることはありませんでした。
1968年、68歳の誕生日からふた月ほど過ぎたある日のこと、
「村山君、僕はどうもこの頃体がしんどうてかなわん。よく見てくれよ」
大阪回生病院に立ち寄った市村を診察した村山は、肝臓のあたりに硬いしこりがあることに気づき、嫌な予感がしました。
予感は的中。精密検査の結果、食道にできた赤子のこぶし大のがん種が左頸部のリンパ節と肝臓に転移しており、余命数カ月と診断されました。ただし、このことは幸恵夫人や側近の希望で市村本人には最後まで知らされませんでした。
長引く入院に焦れた市村は村山に当たり散らすこともしばしばでしたが、次第に“親友の来訪”をただただ心待ちにするようになりました。
「おい、待ったぞ」
「すまん、いろいろあってね。遅くなってしまった」
「来てくれりゃいいんだ。……しかし、どんなに待ったか」
もう2度と「全快のお知らせ」を書くことはないのだ。村山にとって、この時ほど人生の虚しさや人間のはかなさを痛感したことはありませんでした。
「昭和43年12月16日朝7時13分、私は一世の快男児市村清君と慶応病院5階特別室1502室で今生の別れをした。・・・・・・・私は総じて君を『一世の快男児』と呼ぶことにする。君のように敢然として自ら欲せざるところを否と言い切る強さで一生を貫いた人は稀である。・・・・・」 (『三愛会会誌 市村清追悼号』より一部抜粋)。
村山は、率直な性格の市村が老若男女貴賎都鄙を問わず多くの人から愛されたことを知っていました。しかし、その性格ゆえに政財界のみならず一般社会や郷里にさえかなりの敵をつくっていたことも知っており、苦言を呈することもありました。村山は市村の最大の理解者だったのです。
市村の最後の仕事となった「財団法人新技術開発財団」の設立が認可されたのは、死の4日前の12月12日のことでした。理事長に就任した村山は、親友の遺志を継ぎ、世の中のために尽くすことを固く誓ったのでした。

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村山長一

以下のページでも村山長一について知ることができます。
今日のひとこと
〜市村清の訓え〜


今日のひとこと 〜市村清の訓え〜