今月の市村清

Monthly

“今月の市村清”―2024年8月編―

市村の目に映るパリ

~初めての欧米視察~

7月26日から、4年に一度のスポーツの祭典・オリンピックがフランス・パリで開かれています。日本代表の選手たちも連日白熱した戦いを繰り広げていますが、市村清の初めての海外渡航は、1950年6月にスイスで開かれたMRA(道徳再武装)世界大会に日本代表として出席した時でした。市村は大会終了後、ドイツ、フランス、イギリス、さらにアイルランドを経由してアメリカへ渡り60日間に及ぶ欧米視察をしています。
この時の様子は、帰国後に“最近の欧米表情”として佐賀新聞、東洋経済新報等で発表されました。

ここで簡単に、MRA(道徳再武装)について触れてみます。MRAとはMoral Re-Armamentの略称で、1921年アメリカ人宣教師のフランク・ブックマン博士が始めた平和運動です。のちにイニシアティブス・オブ・チェンジ(IC)と名称を変え、現在もこの運動は承継されています。

フランスへは、7月13日にドイツから空路パリに入りました。スイス、ドイツの美しい街並みや景観に驚いた市村でしたが、フランスの美しさはまた別格だったようで、スイスで見た美をおとぎの世界とすれば、パリは一段と人間性に徹し切った美がみなぎっている街だ、と述べています。翌14日がフランス革命の発端となったバスチーユ襲撃を記念した国民の祝日・革命記念日とあって、パリは夜通しお祭り騒ぎでした。市村は革命記念日で開催されたパリ祭の軍事パレードを特別席で陪観し、各国の大使やフランスの閣僚が集まる中、オープンカーに乗った大統領が大観衆の拍手に迎えられて入ってくる様子を見て“大したものだ”と伝えています。
フランスでは他にベルサイユ宮殿を見学し、その感動をこう述べています。

―ベルサイユ宮殿は想像をはるかに超えたものだった。人口と天然とが混然一体となった壮麗無比の景観は、実地に見ない限り筆や言葉では説明ができぬ。ルイ十四世は、この宮殿を営んだがゆえに断頭台に上る運命となったのであるが、芸術至上主義的に言うならば、これほどの宮殿をわがものとした以上はルイ十四世、以て瞑すべしである。―

そしていくつかの高級デパートもめぐり、訪れる婦人の衣装を見て、“今年の流行は黒を中心としてグレーか淡いピンクをあしらったものが主流をなし、スカートは幾分短めになった代わりにひだを多く使ってあることが目立つ”と、市村らしい着眼点で流行をチェックしていました。
フランスでの食事も大変満足だったようで、世界一のカモ料理専門店で名物料理を堪能し、芸術家の集まるモンパルナスの開放的な空気を肌で感じ、自由の国・フランスを堪能した視察旅行となりました。

画像:1950年 MRA世界大会参加メンバーと(後列中央が市村清)
1950年 MRA世界大会参加メンバーと(後列中央が市村清)
今日のひとこと
〜市村清の訓え〜


今日のひとこと 〜市村清の訓え〜