今月の市村清
Monthly
“今月の市村清”―2023年7月編―
何事も創意工夫がたいせつ
~ 絶品の胡瓜の糠漬け ~
新型コロナウイルス感染症も5類に移行し、日々の生活もようやくコロナ前に戻りつつあります。コロナ禍では、感染を予防のために自発的に外出を控えたことや、飲食店の休業や営業時間が短縮されたことで自炊する機会が増え、料理することが好きになったり楽しくなった人も多いと思います。
市村清の妻・幸恵も市村が熊本で始めた保険の外交員時代は契約が取れない日々が続き、収入も無く家計が苦しい時に夕飯の献立は毎晩、魚屋で一番安価な「鰯」を買っていました。幸恵夫人は安く手に入る鰯を焼く、煮る、揚げる、つみれ汁を作る等、毎晩の献立を工夫して疲れ果てて帰宅する主人のためにせっせと鰯料理を作って腕を磨きました。そして、夫人の献身的な支えのお陰で市村は保険外交の仕事で全国トップの成績を収めるまでに成功しました。
起業してからの市村は海外視察を目的に自ら海外に出向くこともありましたが、外国からの客人をお招きする機会も増えました。あるとき、外国からの客人を老舗の料亭でおもてなししたときに料亭のご馳走に飽きた客人から家庭で日本料理が食べたいと請われて自宅に招待しました。幸恵夫人が丹精込めた料理がテーブルに並び、客人は非常に喜ばれ、会話も一層弾みました。食事が終わりに近づいた頃、小皿にみどり濃き葉っぱと茎のついたままの胡瓜がテーブルに運ばれました。市村は胡瓜をのせた小皿をみるなり、内心「えーっ、何じゃい、これは?」とびっくり。しかし、客人の手前、幸恵夫人に問うことはできませんでした。すると、客人は胡瓜を上手に口に運び、パリパリ音を立てて “wonderful, very good, オイシイ!” と大絶賛。市村が食べてみると、胡瓜は糠漬けの味がして美味しく、葉や茎もあるのに胡瓜にだけに糠漬けの味が浸み込むよう工夫がされていました。あとで幸恵夫人に聞いてみると、「胡瓜に針で穴をあけてガーゼで包み葉と茎に糠がつかないようにして浅漬けにしました。」とのこと。
鰯料理のときも毎日、市村に美味しく食べてもらおうと素材の味を生かしつつ、まごころを込めて献立を工夫した幸恵夫人。いかなる困難も創意工夫して“できないことは無い”と自分を鼓舞して逆境を乗り越えてきた市村。ふたりは互いを認め合い尊敬し合う息ぴったりのおしどり夫婦であったと言えましょう。