今月の市村清

Monthly

“今月の市村清”―2023年5月編―

『人の行く 裏に道あり 花の山』

~人の逆を行く道に徹すれば必ず道は開ける~

1960年5月、市村清の著書『人の逆をいく法』が刊行されました。
「人の行く 裏に道あり 花の山」は市村清の座右の銘です。

市村は貧しい農村に生まれ、なかでも市村家は父の豊吉がひどくものぐさだったこともあり貧乏でお金に苦労してきました。市村も幼い頃から可愛がっていた牝牛を税金のカタに取り上げられたり、佐賀中学校を中退することになったりと、お金が無いがゆえに諦めざるを得ない悔しい経験をしてきました。
ですので、独立してからも“お金を稼ぐ”ということには特に尽力を注いできたわけですが、まずは1万円稼ごうといろいろやってみたけれど、どれもうまくいかず200円を稼ぐのがやっと。
どうして生きていったらよいかと悩んだ市村は、「誰もが金も地位も名誉も欲しいと思っている。そうすると自分は、資本、学歴、健康など条件のいい人には絶対に勝てない」と気付きました。
そんな中で、ある決心をします。
「それならやり方を変えてみよう。名も地位も何も求めず、しかし、人間として立派に生き抜いていこう」。つまり、“人の逆を行く”スタートを切ったのです。

市村は『人の逆をいく法』の中でこう述べています。
―人情の常として、困難な道より安易な道を選びたくなるものだ。しかし私は、金も望まない、地位も欲しがるまいと、あえて人とは逆の道を選び、一途に進んできた。すると、道は自然に開けてきた。
<中略>
世の中は複雑で奥行きが深い。人生、何が幸せするか分からない。一見、不幸と見えることが、必ずしも不幸ではないのだ。今日の私に成功と呼ぶものがあったら、それは、人の逆の道を歩んできたからだと思う。―

市村は、人生は結果ではなくプロセス(過程)が大事なのであって、何になるかということより、どういう生き方をするかという事が大切だと説いています。
本書は、市村の歩んだ人生遍歴の記録であり、体当たりで書いた体験の書です。明日に向かってどの道を行くか、選ぶ道は一つではないことを教えてくれます。

画像:「人の逆をいく法」初版本(1960年5月)
「人の逆をいく法」初版本(1960年5月)
今日のひとこと
〜市村清の訓え〜


今日のひとこと 〜市村清の訓え〜