今月の市村清
Monthly
“今月の市村清”―2023年3月編―
友人は選べ
~誠実でなければいかん~
今年も、年明けから雪による立ち往生など、例年以上の寒さや雪に悩まされた冬でしたが、ようやく3月の声を聞き、少しずつ春の日差しが感じられる季節になりました。
3年続いたコロナ禍の規制もいよいよ撤廃に向けて動きだしており、人の往来もコロナ前に戻りつつあります。人が動くということは、辛い別れもありますが、期待と不安が入り混じった新たな出会いもあります。
そんな時、市村清は、友人は選べとアドバイスを送ります。
朱に交われば赤くなると言うけれど、これは友人関係については絶対だ。一遍交わったらトコトンまでというのもひとつの美しい行き方だけれども、深く付き合ってみると意外だと思うことがある。少しく道にそれたような生き方をする人たちからは、たとえ少々悪口を言われてもやはり遠ざかるべきだと思う。これは本当に知らぬ間に影響されるからだ。
私は、人に対して厳しすぎるということを言われる。日本リースを設立したときに、少しいい人をくださいと各銀行にお願いしたら、どの銀行からも同じことを言われ、「世話した上に悪口を言われちゃかなわんから、うっかり推薦できん」と言われた。私は、そんなに部下に対しても人に対しても厳しかったのかと反省したが、しかし、友人を選ぶのと同じで、少し根性の曲がった者はどんな才知があってもいかんと思って、そういう人はあまり難しい問題を起こさないうちに遠ざけようとしたことがかなりある。
最近はそういう人も教育しようと思っているけれども、しかし、初めから人を見る基準は、頭がいいとか、度胸がいいとか、腕力が強いとかいうことではなくて、まず誠実かどうかということに重きを置くようになった。誠実でなければいかん。その上に立ってこその才知であり、度胸であるというふうに見るようになった。前はそういうことのために、まずい別れ方をするとうこともかなりあった。
それで、相当非難なり攻撃されているだろうと思うけれども、これは甘受するより仕方がない。最近は、友人も部下も先輩も、そういう気持ちで選んでいくことが非常に私にとってはプラスになっていると思う。
先輩はビシビシ私の欠点を指摘してくださる先輩であり、友人も遠慮なく欠点を言ってくれ、気が付いたところを注意してくれる友人であり、非常にありがたく思っている。
そういえば、リコー無配転落のきっかけとなった架空販売の実態も、佐賀中学時代の旧友たちが暴き、市村に忠告したものであったのでした。