今月の市村清
Monthly
“今月の市村清”―2024年4月編―
自蹊会の設立から80年
グループを固い絆で結ぶために生まれた三愛会
4月は新年度のスタートという方も多いと思います。実は三愛会の設立日は市村清の誕生日4月4日です。市村は1944年に関連会社7社からなる自蹊会(じけいかい)を発足し、2年後に三愛会と名称を改めました。
「従業員は事業の協力者である。信条とする三愛主義を徹頭徹尾貫いて、彼らが勤めを楽しい面白いこととして愛するように導いていきたい。そして働くことに何の心配もつきまとわない世界のどこにも類例のない独自の“市村産業集団”というものを作り上げていきたい」
三愛会は市村が創業当時から抱いていたこの思いを実現するために各社相互の連携を図ることが大切である、という考えのもと設立し、今年80年の節目の年を迎えました。
市村は1945年の終戦前夜の重役会議で戦後の方針をサービス業の開拓として、三愛商事を設立しました。サービス業を始めるにあたり、“どこでやるのか”が最大の課題となりましたが、悩みに悩み選んだのが東京の中心地・銀座だったのです。銀座4丁目に「三愛」をオープンさせ、食料品を適正価格で販売する店として名を高めました。物資が安定して消費者に供給されてくると次はおしゃれ婦人服「ファッションの三愛」として再スタートし、人気を博します。市村は三愛の商号がつく会社を立ち上げる以前に「三愛主義」を確立し三愛に並々ならぬ信念を込めていました。
三愛会はリコー三愛グループに所属する会社で構成されており、その特徴は異業種の企業集団であるということです。「一業種の企業集団というのは、一点に集中することによって他より抜きん出ることができるが、時勢の影響で斜陽産業に追い込まれることもある。一方、多角経営は最高にはなれないけれど、安定性は高い」と市村は考えました。開拓者的な性格も多角経営に向いていました。
この80年の間、三愛会の会員会社数は100社を超える時もありました。事業の再編や統合などで現在は40社・団体となりましたが、三愛会は常にその時々、時代の変化を柔軟に取り入れ会員会社の発展を願い固い絆を築くことを大切にしながら成長してきました。
昨年、リコーの山下良則代表取締役会長が第7代三愛会会長に就任しました。山下会長は「リコー三愛グループはこれまでの伝統を引き継ぎながら、自らの仕事でお客さまへお役立ちすることで働きがいを感じ、ひいては働く歓びを感じる、そんな集団であってほしい」と考えを述べています。山下会長の強いリーダーシップのもと、三愛会は会員会社の皆さまとの連携を深め、市村清の顕彰と市村が唱えた三愛精神「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」を次の世代につなげる活動を継続していきます。