今月の市村清

Monthly

“今月の市村清”―2022年9月編―

自然は人の心を洗う

―旅は人の心を軽くする―

日本政府は、2003年に観光立国を宣言。10年を経て2013年に初めてインバウンドが1000万人を突破しました。その後2016年には2000万人。そして、2018年には3000万人を突破し、このままいけば、目標としていた2020年4000万人にも手が届きそうになっていたところへ新型コロナウイルスの蔓延。鎖国政策ともいえる対応で、積み上げてきたものが振り出しに戻ってしまいました。

市村清が観光地開発に乗り出したのは、阿蘇の瀬ノ本高原がある南小国村の村長からの度重なる懇請を受けてのことでした。当時の日本に残された最高の観光資源といわれた地を、既存の観光業者に荒らされたくないとの想いで市村に依頼をしてきたのですが、なるほどその期待どおりに、天然の風光を絶対傷つけないよう、天然と人工をどのようにマッチさせるかということに最大の関心を払って、じっくり腰を据えてスタートしたのでした。

市村は観光事業についてこう語っています。
「旅に出たいというのは遠い祖先の時から人間の本能だと思う。ことに今は、世の中が技術革新だ、科学時代だなどと言って、身辺の生活がスピード、スピードで追いまくられると、旅に出て、少しく逃避というか心の安らぎを得たい。
技術、科学が進めば進むほど人は旅を求める。何といっても、旅は人の心を軽くする。そして変わった風物に接することによって心が洗われる。また物の考え方も広く深くなってくる。沢山のプラスがある。
人間の未知に対する憧れ、話には聞いていたけれども、聞けば聞くほどやはりこの目で確かめたいというものは、人間の本能だ。そして実際に行って親しく目で見、肌で感ずれば、それ自体大きなプラスになる。
そういう意味で各国とも旅行は大いに奨励するし、ますます盛んになると思う。」

日本は新型コロナウイルスの影響により、日常生活に大きな制約を受けました。そして、日常からの脱却の手段であった旅行も、自由な往来ができずにいました。しかし最近になってようやく行動制限が解除され、旅を楽しむ人も戻りつつあります。
振り出しに戻ってしまったインバウンドも、まずは団体旅行客からと緩和のスピードは鈍いものの、一歩を踏み出しました。
先人達が丁寧に開発してきた観光資源を、国内外の人たちに広く堪能してもらい明日からの日常を生きる糧になればと、市村も切に願っていることでしょう。

画像:自然環境の美しい 阿蘇・瀬の本高原
自然環境の美しい 阿蘇・瀬の本高原
画像:瀬の本高原レストハウス
瀬の本レストハウス
今日のひとこと
〜市村清の訓え〜


今日のひとこと 〜市村清の訓え〜