第11回

プラス・マイナス採点法

ホテル三愛

札幌・中島公園に隣接する「札幌パークホテル」の前身は、市村が創設した「ホテル三愛」です。

「札幌に豪華なホテルを造ってくれませんか」という要請を受けた市村は、事業開始に際しての原則としていた「プラス・マイナス採点法」を用いて計算。「札幌という立地条件はシーズンオフが半年近くあるので、マイナス70点、しかし、地域独占の事業になるので、プラス80点。その他……」、総合点がプラス60点以上になると判断して建設を決断しました。

1964(昭和39)年、札幌に姿を現したホテル三愛は、IOCのブランデージ会長が「すべてが国際級」と賛辞を贈ったほど超豪華なものでした。

しかし、市村の事業の中心であるリコーの不振もあって、ホテル三愛をわずか2年足らずで手放すことに。市村は社長退陣の際、従業員を一堂に集めて、みんなの身の振り方については全責任を持つと話した後、絶句して男泣きに泣いたのでした。

その後、ホテル三愛は五たび運営会社を変え、名称も変えてきましたが、三愛精神は創業の精神としてしっかりと受け継がれているそうです。

今日のひとこと
〜市村清の訓え〜


今日のひとこと 〜市村清の訓え〜