会誌
すくらっぷ帖

Past feature articles

三愛会の機関誌として1954年に創刊した三愛会会誌。創業者・市村清の思想をはじめ、会員会社の動向や社員同士のコミュニケーションツールとして発行されてきました。
「会誌すくらっぷ帖」では、今までに会誌に掲載した記事の中で、特に人気の高かったものや、発行時の時代を反映した興味深い記事を厳選して紹介していきます。

三愛会会誌60号(1969年発行)

1968年に逝去した市村清の最後の事業は「新技術開発財団」の設立でした。
“裸で生まれてきたから裸で帰る”。市村は生前から、自身の財産を何か世のため、人のために使いたいと願っていました。この考えを具体化しようと役員と協議を重ねた結果、“日本の将来を担う科学人の育成を目指す財団の設立”が市村の意向に沿うという結論を得て、急ぎ申請をして認可が下りたのは市村が亡くなる4日前のことでした。
財団のおもな事業の一つである新技術開発・研究の表彰は「市村賞」と名付けられ、69年4月4日に第1回贈呈式が行われました。

60号PDF版(抜粋)を閲覧する(PDF 7.8 MB)

今号の特集『断絶から創造へ』は、当時評判になっていたドラッカーの著書『断絶から創造へ』で流行語となった“断絶”を乗り越えて、力強く創造の世界に進むことを示す意味で決まったテーマなんだ。
著書の簡単な解説と特集テーマに沿った評論が掲載されているよ。

第1回の市村賞贈呈式はボクの誕生日の4月4日にホテルオークラで開催されたんだ。“市村賞”は国産の独創的な技術開発で経済効果が大きく社会に貢献するもの、及び独創性にとんだアイデアを顕彰するものとなっているんだ。市村賞の贈呈式に続いて、アイデア技術の開発費を助成するテーマも発表されたんだ。これは財団の事業のうち、もっとも重点を置かれているもので、独創的な国産技術で経済的効果が大きく期待できるものに対して開発費を助成しているんだよ。市村賞で受賞された技術・開発テーマがいずれボクたちの役に立ってくれるといいな。

第1回となる市村賞贈呈式では、以下のテーマが本賞を受賞されました。
●本賞(300万円)
「合成紙(Qバー、Qコート)の開発とその企業化」 日本合成紙㈱ 取締役社長 安得三氏他3名
市村賞は本賞の他、奨励賞2テーマ、アイデア賞3テーマが受賞しています。
また、アイデア技術開発費の助成については、次の3つが発表されました。
「空気滅菌清浄機の開発」 空気清浄研究所 所長 手塚幸策氏 120万円
「高分子のエレクトレット熱分析法の研究」 理化学研究所 研究員 高松俊昭氏他 110万円
「単色発散Ⅹ線を用いるⅩ線回析カメラの試作」 理学電機㈱ 研究部長 吉松満氏他 120万円

2024年4月19日、第56回となる市村賞贈呈式が開催されます。優れた国産技術を開発することで産業分野の発展に貢献・功績のあった技術開発者に対して贈呈されます。

今日のひとこと
〜市村清の訓え〜


今日のひとこと 〜市村清の訓え〜