今月の市村清

Monthly

“今月の市村清”―2020年3月編―

事業は世のため、人のために

深い郷土愛から生まれたサガテレビ

画像:サガテレビ本社
サガテレビ本社

市村清が生前、親交があり友であり最も尊敬していた石坂泰三氏(第2代経団連会長)は、市村のことを「直情径行、己の正しいと信じたことにはいかなる権力、暴力をもってしても屈することがなかった。
同時に彼は人一倍感情にもろい、心の温かな人であった。」と語っています。
市村にとって故郷は幼少期の苦い思い出に満ちた地でしたが、それでも人生の出発点であり、市村は佐賀を愛していました。
事業家として成功した市村は故郷への恩返しのつもりで佐賀県に体育館を寄贈しました。
落成式では、館内を圧する歓声と拍手に迎えられ目頭を熱くするのでした。
常にふるさと佐賀のことを思い、県民に慕われ尊敬された市村。
そんな市村が次に手がけたことは、佐賀県初の民間テレビ放送局の設立でした。
当時の佐賀県全域は、公共放送(NHK)が受信できるだけで民間のテレビ局がなく、近県の福岡と長崎の民間放送局が佐賀県の一部をカバーしていました。
故郷の将来を思う市村は、佐賀県のことを最優先に取り上げてくれる佐賀県全域をカバーする県民のための民間のテレビ局の重要性を認識し、県民の豊な生活のためにもテレビ局の設立に向けて地元の有志と共に奮闘するのでした。
開局には、放送法に基づく所定の免許資格を得るための厳しい審査があり、所轄の官庁(現・総務省)の役人からは「福岡と長崎に既に民間放送局があり、カバーしているから、佐賀にあえて必要性を感じない。」とまで言われるのでした。
愛してやまない故郷に向けられた佐賀を軽んじたとも言うべき発言に「どんな困難があろうともなんとしても故郷のために、民間のテレビ局を設立したい。」という思いを一層強くする市村。
その熱意が通じ、佐賀県に初めて民間放送局 佐賀放送(株)を設立します。
1968年3月に会社登記をし、初代会長には市村が就任しました。
同年5月に社名を(株)サガテレビに変更し、フジネットワークの一局として、地元の報道機関としての役割りはもとより、佐賀県を中心としたホットな情報を全国に発信しています。
2019年に開局50周年を迎え、「ここから先が、おもしろい。」のキャッチコピーで、県民に愛されるテレビ局として発展しつづけています。
いまから50余年前、市村はテレビ局の開局にも携わっていたかと思うと、その先見性とふるさとを思う郷土愛の深さに驚かされるばかりです。

今日のひとこと
〜市村清の訓え〜


今日のひとこと 〜市村清の訓え〜