今月の市村清

Monthly

“今月の市村清”―2019年10月編―

創業者・市村清の生きざまに学ぶ

市村清伝記『茨と虹と』

リコー三愛グループ創業の父・市村清の生涯を綴った伝記『茨と虹と』をご存知でしょうか。新入社員研修などの際に"読まされた"という方も多いでしょう。

画像:1969年12月の初版本
1969年12月の初版本
画像:現在の改訂版
現在の改訂版

初版は、市村の一周忌にあたる1969年12月16日に、A5判(ハードカバー)1冊580円で全国の書店から発売されました。
波乱万丈な人生に加えアイデア社長として名を馳せた人物の一代記ということで、ちまたではかなり評判になったとか。
著者の尾崎芳雄氏は、日本経済新聞社の記者として文化部に所属し、1962年に日経新聞の「私の履歴書」に市村が登場した際、交通事故の影響で右手が不自由だった市村に代わって口述筆記により原稿をまとめた人物です。それが縁で後に出版された市村の著作も同様にして尾崎氏が協力しています。

当時、市村の印象について尾崎氏はこのように述べています。
―― 延べ十数時間、感情を込めて語る市村さんの追憶談は血を湧かせた。生前の市村さんから受けた人間的な印象は極めて赤裸々なものだった ――

市村亡き後、三愛会では「市村清伝記刊行会」を発足し、舘林新会長を中心に編さんを進めることになり、“心に響く市村の生涯をありのままに描ける人物は尾崎氏以外にいない”という結論から、著者として尾崎氏に白羽の矢が立ちました。

発売から間もなく、三愛会事務局へ本書を購入した一般の読者から感激の手紙がいくつも寄せられました。その一部が《読者の声》として1970年発行の三愛会会誌第63号に掲載されていますので、抜粋して紹介します。

  • これほど引き込まれて読んだ本は久しぶりです。政財界人の伝記は顕彰的な自己満足のものがほとんどのように思われますが、清潔、孤高な気品を湛えたものと感心しました。
    (作家・直木賞受賞者)

  • 本書が不遇の有能なる人々の人生に光と力を与え、また一方、激動する産業界にあって奮闘されている多くの経営者に力強い指針となると信じます。
    (飲料会社・課長)

  • 日経新聞の広告を見てその足で書店に駆けつけ、職場の男子社員数の書を求めました。市村氏のような優れたビジネスマンを志す私にとって、この書は貪欲に血肉化し、同時に部下へ「生き方の哲学」を示す教本にしなければならないと確信したからです。
    (運輸会社・課長)

読書の秋―。
いま一度、『茨と虹と』を読んで、市村清の人生に触れてみてはいかがでしょうか。

今日のひとこと
〜市村清の訓え〜


今日のひとこと 〜市村清の訓え〜