三愛会会誌 173
5/24

          (まさに知るべし この処■■■ これすなわち道場なり)座右の銘は「当知是処 即是道場」 「当知是処 でも、何をしていてもそれがすなわち修行であり、その場その場を大切に■という意味です。この教えの通り、常に自分の周りで起こっていることに対し「なぜ?」「どうして?」と疑問を持ち、物事の本質を見出す姿勢を大切にしてきました。性能を熱心に説明しているのに、お客さまは全然関心を示しません。なぜお客さまに伝わらないのだろうか、どうすればいいのだろうか。営業担当者たちとも議論を重ねた結果、お客さまの立場に立って考えてみることが大切だということに気づいたのです。異国の地の営業現場も貴重な修行の場となりました。IT化の進展、グローバル大競争時代の到来、アジア経済の急速な伸長、少子高齢化や産業構造変化の加速など世の中が大きく変わる変革期にあり、桜井さんはこの構造改革期を経営者として無我夢中で走り続けました。一方で、社員の意識改革として「ファイヤー文化」を提唱。新しい市場や事業を創造し、市場を創り上げるためにも、常にお客さまの起点に立ち、お客さまの潜在ニーズやご不満を掘り起こし、新しい事業へのヒントとすることが必要であると考えたからです。年の間にグループの連結売上高は倍増の2兆円超えを記録。常に時代の先を読み、一貫して物事の本質を追求し続け、リコーブランドをグローバルブランドへと成長させました。社団法人(当時)経済同友会代表幹事に就任しました。業界のしがらみにとらわれない提言や活動を行うなど、国や企業の在り方を積極的に発言し、より良い経済社会の実現や国民生活を充実させるための諸課題に率先して取り組み、国民生活の豊かさと世界経済の調和ある発展に尽力しました。即是道場」は〝修行とは仏堂の中だけのことではない。どこ例えば、欧州の販売会社に赴任していたときのこと。営業担当者が製品のリコー社長に就任した1996年当時、国内はバブル崩壊後の景気減速、 総力を結集しての事業構造の改革や商品力の強化、チャネルの拡充を図る主力の複合機の開発では効率化の追求、収益性の向上などに努め、在任112007年、社長職を近藤史朗氏に託して会長就任、同時に三愛会会長、まさに、日本の経済界を全力で走り続けた人生でした。      3 会場正面に飾られた桜井元会長の写真、座右の銘「当知是処 即是道場」のパネルと「桜井正光のあゆみ」と題された年表会場の壁面いっぱいに設置された年表の一コマ一コマをたどりながら、思い出を語り合い、故人を偲ぶ参会者の皆さん近藤史朗三愛会前会長(左)とNHK稲葉延雄会長(元リコー取締役)

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る