2 「三愛精神」でつながる異業種企業群創設者市村清が貫いた信念を学びさらなる飛躍を遂げる時三愛会会長 山 下 良 則市村清、ひとりの人間として、事業家として三愛精神 リコー三愛グループは、創設者である市村清が唱えた三愛精神に共鳴し、それに基づく経営を実践する企業の集まりです。市村は、1936年、理研感光紙(現リコー)を創業しました。理化学研究所の桜井季雄理学博士が発明した感光紙販売から始まり、今では、事務機器、光学機器、商用印刷、ITサービス、産業向けソリューションなどの事業を展開しています。戦後には、おしゃれの店三愛をはじめ、 航空機燃料の供給などを担う三愛石油(現三愛オブリ)、精密部品・機械器具・時計などのリコー時計(現リコーエレメックス)、コカ・コーラなど清涼飲料の日米飲料(現コカ・コーラボトラーズジャパン)、日本初のリース会社となった日本リース、佐賀県で唯一の民間放送会社として設立された佐賀放送(現サガテレビ)など、業種の異なる企業を次々と創業しました。非財閥系では他にあまり類を見ない異業種企業で構成されるこの当グループにおいては、各社が切磋琢磨し、それぞれの事業で大きな成功をおさめてきたことが私たちの誇りであり、今後もそうありつづけけたいと考えています。 (リコー代表取締役会長)佐賀県に生まれた市村の生涯は、まさに茨の道と言えます。事業に成功してからも、次から次へと降りかかった困難は、私たちの想像を絶するものも少なくありません。強い信念と卓抜した行動力でそれらを乗り越えてリコー三愛グループを立ち上げ、発展させてきたのです。ひとりの人間としての市村は、己が正しいと信じたことにはいかなる権力にも屈することがなく、同時に、とても情にもろい、心の温かな人であったそうです。修羅場を切り抜ける時には凄まじい気迫を見せ、一転、家族や友人、部下などに接する時にはとても人情がこまやかで人間味にあふれていたとあります。事業家としては、明敏な頭脳と強固な実行力に支えられた創造的な事業家でした。感光紙、カメラ、デパート、ホテル、石油、事務機、時計、リース、放送局など多岐にわたる事業を興し、その多くが独創的な着想に基づくもので、それらを卓越した経営実務経験をもって成功に導いたと言えます。このふたつの人物像の帰するところが、市村が、戦後まもなく標榜した創業の精神「人を愛し 国を愛し 勤めを愛す」(三愛精神)です。 「人を愛する」とは、自分さえよければという考えを捨てて他人を思いやることです。豊かで安心した生活はそうした気持ちを高めることにもつながります。そのためには「勤めを愛する」ことが必要です。仕事を楽しい、面白いと感じ、さらには歓びをもって働くと、いっそう仕事に打ち込めるようになります。その姿には周囲から尊敬や信頼が寄せられ、働く歓びも大きくなるでしょう。そこまでに至るとやがて社会に対する愛となり、「国を愛する」気持ちにも発展すると市村は述べています。また、その著書『そのものを狙うな』においては、「どうすれば世の人がお互いに幸福になれるか、どの道をとればお互いに豊かな生活ができるか。事業の内部外部を問わず、私は事業経営によってこの大命題を追求したい。単なる利潤追求ではなくて、その底に何かヒューマニズムの流れる事業家たることを信条としているのであご挨拶リコー三愛グループの未来へ
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